○学校屋上 太郎、花子に告白している。 花子、首を横に振る。 太郎ガックり ○池 太郎がバスフィッシングをしている。 全く釣れない 太郎ため息 魚のはねる音 親父がやってくる。 親父、太郎を見て 親父「太郎、何やっているんだ、学校はどうした?」 太郎、親父を見る。 太郎「・・・親父こそなんだよ、会社はどうしたんだよ」
体育すわりしている、太郎と親父 親父「なんだ女の子に振られたぐらいで」 太郎「親父こそ・・会社つぶれたぐらいで」 親父「お前なぁ・・来月からどうやって飯を食べていくんだよ」 太郎「俺のセリフだよそれは・・。」 親父「釣れるか?」 太郎「何が?」 親父「魚だよ」 太郎「さっぱりだよ」 親父「女も魚も釣れないってか(大笑い)」 太郎「会社潰れた人間がいう言葉かよ」 親父「・・・つらいか?」 太郎「・・・まぁ」 親父「ちょっと待っとけ!」 親父、韋駄天で走っていく 太郎「親父・・・・」 ○同・夕暮れ 親父が息を切らせて戻ってくる。 その姿はルアーである。 疑似餌の格好をし、胸の辺りに巨大な返し針がついている親父。 呆気にとられる太郎 腰に巻きつけられているロープと太郎の釣竿の糸を結ぶ。 親父「さぁ投げろ!」 太郎「はぁ?・・魚がつれなくて落ち込んでんじゃないよ!」 親父「うるさい!魚のいそうなポイントに俺を投げろ!」 太郎、圧倒される。 太郎、思い切りキャスティング(竿でルアーを投げること)する。 竿が親父の重みで「バキッ」と折れる。 親父、湖の中に走っていく。 親父「わー」 ザバンと大しぶき 夕焼けに染まっている太郎が影に染まる。 巨大な魚が親父を飲み込む。 太郎、慌てて、竿糸を引っ張る。 太郎と巨大魚の格闘。 ××× 巨大魚がゆっくりと陸に上がってくる。 太郎、近くにある木の枝で巨大魚にとどめを刺す。 巨大魚の口を開けると、なんと太郎をふった花子がいる、親父はいない。 花子がにっこりと笑う。 太郎「・・・・」 ○太郎の家 お通夜 笑っている親父の顔写真 家族・親戚が巨大魚を囲んで酒を飲んで、親父を偲んでいる。 親戚A「会社潰れたのがよっぽどショックだったらしいね」 親戚B「あぁ見えて真面目な人だったからねぇ」 太郎、巨大魚を口に頬張り男泣きする。 ○池沿いの道・夕暮れ 太郎と花子が歩いている。
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